GISデータフォーマット ~GeoJSON/GML/Geopakage/FlatGeoBufほか~
前記事では、国内で流通する様々なGISデータ形式のうち、Shapefileについて整理をしました。
本記事では、Shapefile以外の国内で流通するGISデータ形式を整理したいと思います。今回扱うデータフォーマットは次の通りです。
- GeoJSON
- GML
- KML
- Geopakage
- FlatGeobuf
- 数値地形図データ(DM)
目次
GeoJSON
Web系開発者を中心に策定された形式。名前の通りJSONをベースとしたデータ形式のためWebとの親和性が高く、多くのWebservice・GISツールが対応している。2008年に仕様が定まり、現在ではShapefileと並んで浸透しているGISフォーマットといえそうです。
特徴
- テキストファイルのため可読性が高くテキストエディタでの編集も容易
- Key&Valueでの記述となるためファイル容量は大きくなりがち
- Shapefileと比較したとき空間参照系の定義ができない、色定義が定義できないなどの制約がある。(Shapefileの場合、拡張ファイルでそれらを定義することが可能)
ただし、それらの定義をGISファイル内で記述すべきか否かは思想的な面もあるため、良し悪しは判断しがたい。
GML
業界団体OGCが管理するISOやJIS規格にも認定された規格。XML形式をもとに業界団体OGCが仕様策定し、2000年に公開したデータ形式。OGCが管理していることからOGC標準とも呼ばれる。
公的機関が中心に仕様整備した経緯から、2010年代は国の公開するデータはGMLで公開されることが多かった。ただし市場への浸透は微妙で現在はあまり聞かなくなった。
特徴
- ISOやJIS規格に認定されている準公的な規格
- 国際業界団体OGCの管理下にあるため「OGC標準」フォーマットとして認知されている。
- テキストファイルのため可読性が高くテキストエディタでの編集も可能
- 2010年代に「課題の多いShapefileに代わる次の業界標準GIS形式」として、国主導で普及が試みられたが市場への浸透は微妙。後発のGeopakageなどに「Shapefileの次の形式」の座を譲ることとなる。
KML
現在はOGCが管理する、元Google独自形式。Google系地理サービスを中心に普及。元々はGML形式をもとに米国Keyhole社(Googleが買収、現在のGoogleEarthの源流)が策定したフォーマット(KMLのKは”K”eyholeが由来)。現在はGML同様に業界団体OGCにて管理される。
特徴
- 元々GoogleEarth向けに策定されたデータフォーマットであるため3Dデータ・色表現をデータ内にて定義できる。
- 国際業界団体OGCの管理下にあるため「OGC標準」フォーマットとして認知されている。
- テキストファイルのため可読性が高くテキストエディタでの編集も可能
- 現在も「Google Earthで使うデータ」として利用されている。
GeoPackage
SQLiteをベースとしたGISデータフォーマット。OGC標準のデータ形式。Shapefileに代わるデファクトスタンダードのGISフォーマットとして今後の普及が期待されている。QGISではデータエクスポート時はデフォルトでGeoPackageが表示されるなど、徐々に各所で採用されている。
特徴
- 格納できる情報が充実している(ベクターデータに加えてラスタデータも格納可能、スタイル定義も格納可能。複数レイヤの格納も可能)
FlatGeobuf(FGB)
flatbuffers(2014年にGoogleが策定したデータ形式)をもとに策定されたGISデータフォーマット。GDALで対応しているため一部のGISツールにて対応が進む。GeoPackageと並んで今後の普及が期待されるデータ形式。
特徴
- 処理が高速(空間インデックスがあるため大容量データも扱いやすい)
- 格納できる情報がシンプル(ベクターデータのみ格納可能、地物と属性のみを格納可能、単一レイヤの未格納可能)
数値地形図データ(DMデータ)
日本の公共測量で使われる国内独自形式。国土地理院が仕様管理し、 多くの自治体で用いられる。
特徴
- 公共測量成果の管理を目的に使用策定されているため、厳格なルールが存在。
- 市場普及を想定されたデータ形式ではないため、Shapefile等の汎用形式への変換がやや手間である。
- 国土地理院の提供する基盤地図情報ビューアにて、Shapefileへの変換が可能であるが、家枠をLine型として持つなど使い勝手の良いデータにするまでは補正が必要。
余談:Shapefileの後継
Shapefileがデータフォーマットとして扱いいにくいフォーマットであることは、10年以上前から各所で指摘されています。一方で中々置換が進まない背景には明確な後継フォーマットが存在しないことが挙げられます。
2010年代初期はGMLが後継として公的機関を中心にプッシュされました(しかし使い勝手が特段良いわけではなく普及せず)
その間Web系サービスで徐々に存在を高めてきたのがGeoJSONです。現在でもGeoJSONは多くのWebサービスで扱われているフォーマットです。一方、GeoJSONはテキストファイルのためデータ容量も大きいこと、Read/Writeの速度面などの理由でGISフォーマットとしてShapefileを置換する存在にまでは至っていないです。
また2010年代後半から2020年代にかけて、GeopackageやFlatGeobufが出現しました。2022年現在、これらのフォーマットの認知度が高まってきつつあると言えます。
現状はShapefileがまだまだデファクトスタンダードとして君臨していますが、今後の動向には注目したいです。
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