GISとは何か?

本サイトでは今後GISという言葉を頻用していきます。GISという言葉に馴染みの無い方も多いかと思い簡単に説明をしたいと思います。

GISとは

GISとはGeographic Information Systemの略称です。
日本語では「地理情報システム」となります。

ざっくり言うと「GIS ₌ 地理的な要素、位置情報を扱うIT技術の総称」です。
少し難しく言うと「地理的な情報、位置情報を管理・加工・可視化・分析・共有する技術」です。
具体例があった方が良いですね。例えば次に挙げるものは全てGISといえます。

  • GoogleMaps
  • カーナビ
  • ポケモンGoなどの位置情報ゲーム
  • Zenlyなどの位置情報のシェアアプリ
  • 災害シミュレーションシステム(浸水予測システムなど)

例えばスマホで写真撮影したとき位置情報のタグが付いていたりしますよね?
そのような写真を編集・閲覧するアプリも、広い意味でGISといえます。
(さすがにスマホはGISだ!は拡大解釈になりますが、それぐらい現代社会とGISは切っても切り離せない関係にあります)

マップや位置情報が身近にある現代では、GISは本当に至る所で使われています。

GISの活用例

上段ではGISのイメージを沸きやすくするため、少し具体的かつ拡大解釈をした説明をしましたが、もう少しシーンごとに分けて説明したいと思います。

日常生活シーン

地図アプリやカーナビなどが日常生活で出会うGISになります。
これらはGISの構成要素のうち「地理的な情報の可視化」に特化したGISといえます。
(正確には位置情報の保存機能や共有機能など、可視化以外の要素も含んでいますが)

少しお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、普通これらのサービスはGISと呼ばずに「地図」と呼びますよね。
昔は地図は「絵」でしたが、今や地図は「データの塊」です。地図サービスもまたGISの1つなのです。

ビジネスシーン

ビジネスシーンでもGISは広く使われています。

例えば店舗出店の際「周辺人口や交通量などの立地状況を把握したい(このような分析を商圏分析と言います)」というシーンでGISが使われます。また、物流業界では効率的な配達ルートの分析・作成、不動産業界では土地の価格算定(周辺の地価や環境をもとに、ある地点の土地価格を予測)、建設業界では土壌管理(土地の変遷管理)、通信業界では電柱・配線箇所の管理など、多くの場面で使われています。

このようにビジネスシーンではGISの構成要素のうち「地理的な情報の管理~可視化~共有」まで広く利用されています。

自治体行政・防災分野

実は自治体で扱う情報の大半は「位置を伴った情報」と言われており、自治体行政とGISは非常に親和性が高いです。
(確かに自治体に何か申請を出すとき、必ず住所は聞かれますよね)

また、防災という観点からもGISは非常に重要です。
災害大国日本において「ハザードマップ」は近年一層重要視されています。
河川氾濫時に「ハザードマップでの浸水予測と実際の浸水被害が実は一致していた」といったニュースを耳にしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。地理的な解析をもとに災害想定をシミュレーションする技術はまさに、最先端のGIS技術の結晶ともいえます。

さらに、災害後も災害地点の特定や復旧・復興作業の計画策定のためにGISは必須となっています。例えば、災害被害の大きいエリアと居住者の人口構成を組み合わせることで、限られた支援リソースをどこに優先配備するかなど、その意思決定の手段としてもGISは用いられています。

※日本の地方行政においてGISは様々な分野で活用されているのですが、実はGISの必要性が叫ばれるようになったのは阪神大震災という災害経験がきっかけでした。(このあたりはいつかまたまとめます)

軍事分野

最後にGISを語るうえで絶対に無視できない分野があります。それは軍事領域です。

少しおっかない話ではありますが、軍事が様々な技術分野の発達に貢献したように、GISも軍事起点の技術が多く存在します。
特に身近な例としてはGPSがあります。GPSは元々アメリカ軍が地球上のあらゆる地点で自位置を特定するために技術開発した軍事技術です。

1990年代初頭にアメリカ軍が運用していたGPS衛星が民間に技術開放され、その後民間でもGPSが普及しました。そして現在はアメリカだけではなく各国が類似の技術・衛星開発をしています。例えばロシアではGLONASS、欧州ではGalileo、中国では北斗、日本では「みちびき」と呼ばれる衛星が同様の役割を果たしています。

ちなみに、日常的にはスマホの位置情報のことを「GPS情報」と呼ぶ方も多いようで、GPSという言葉が世の中に浸透してしまっていますが、あくまでGPSはアメリカの運用するシステムの名称です。正確にはこれら技術の総称はGNSSと呼ばれ、GPSはそのアメリカ版に過ぎません(もっとも、技術・用語の発祥はGPSの方が先なので、GPSを一般化したものがGNSSと説明する方が正確かもしれませんが)

最近の位置情報受信機(スマホなど)は複数の国の衛星電波を受信できるものが多いため、GPSではなくGNSSという用語を心掛けて使っていきたいですね。

GISツール

上記までで、GISの様々な利用シーンを挙げました。位置情報や地理情報を扱うGISは技術の総称のため、そのシーンごとに様々なツールが開発され、使われているのが実態です(GISそのものは技術の総称名なので、特定のツールを指すわけではありません)。

一方で、世の中にはGISのうち多くの分野で使われる機能を集約してパケージ化した便利なツールが存在します。
このようなツールのことを狭義な意味で「GIS」または「GISツール」と呼ぶことも多いです。

次回以降、それらのGISツールの紹介もしていきたいと思います。

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